次に、サプリメントを利用することによる放射能被曝対策について説明します。
今まで述べてきた放射能汚染の少ない食材の選び方や汚染度を下げる調理方法を知るということは、放射性物質を極力体内に取り入れないというスタンスであり、極めて重要な被曝対策の基本です。このことは、交通事故等を未然に防ぐ際に用いられる「アクティブ・セーフティ」に相当するものと考えてください。
ここではそのアクティブ・セーフティに加えて、事故が起きた際の被害を最小限に抑える「パッシブ・セーフティ」に相当する、一旦体内に取り入れてしまった放射性物質の健康への悪影響を最小限に抑える方法について説明します。
<活性酸素対策 - 抗酸化物質の摂取>
対策を考える上で > これからの生活と必需品(ガイガー等) で述べた通り、放射線の電離作用により細胞内の水分子と反応し細胞内に活性酸素(フリーラジカル)が増加して細胞膜、DNA等が傷つけられてしまう「間接作用」の害が、低線量被曝の場合は特に深刻とされています。そのため、東京における放射能被曝対策とは、すなわち活性酸素を減らすということが重要になります。当然ながら活性酸素を除去するためには抗酸化物質を摂取することが必要です。以下に特に抗酸化能力の高いビタミン類を列挙いたします。
・ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA(ベータカロチン)
・コエンザイムQ10
・ポリフェノール
・アルファリポ酸
放射線被曝の害を日常的に受ける東京に住む我々にとっては、活性酸素(フリーラジカル)を継続的に除去する必要があることから、通常より多くの抗酸化物質を摂取する必要があります。特にビタミンCは安価で入手可能であり、水溶性のため過剰摂取の害が報告されていないことから、通常より多めに摂取して、体内の抗酸化力を高めておきましょう。一方、コエンザイムQ10やアルファリポ酸については過剰摂取の害が否定できない(アルファリポ酸は太りにくい体質になる効果が期待されますが、効能を期待して大量摂取したことにより、インスリン過剰分泌を引き起こした例があると報告されています)ことから、取り過ぎには注意してください。
これら活性酸素に対向する抗酸化作用のあるビタミン類を効率的にまとめて摂取できる「マルチビタミン」のようなサプリメントを取ることも効果的です。
<ストロンチウム対策 - カルシウムの摂取>
放射性ストロンチウムは白血病や骨髄腫の原因となることが知られています。ストロンチウムはカルシウムと性質が似ていることから骨に溜まりやすい特性を持ちます。カルシウムが欠乏している状況だと、ストロンチウムを多く取り込み、ストロンチウムが骨に蓄積されやすい状況になってしまうため注意が必要です。カルシウムを取ることにより放射性ストロンチウムの吸収を抑制することができると考えられています。さらにカルシウムを積極的に摂取すると、放射性ストロンチウムとカルシウムの尿中排泄率が増加するという研究結果も出ています(以下のリンク参照)。カルシウム不足には注意しましょう。
[source: 原子力安全研究協会「 地域フォーラムテキスト > 詳細版 > 第10章 体内汚染の診断と治療 > 3. 内部汚染の治療」]
<セシウム対策 - ペクチンの効能・カリウムの摂取>
セシウム137の物理学的半減期は約30年ですが、生物学的半減期は約70~90日です。セシウムは体内に取り入れられると腸管から血流に乗って肝臓や腸にガンマ線およびベータ線を放射します。セシウムは筋肉に蓄積された後に腎臓を経て、尿となって体外に排出され、約3ヶ月程度経過することで一旦取り入れた体内のセシウム137の量は半分程度に減少します。体内に存在する間は深刻な内部被曝を引き起こしますが、体外に出てしまえばあとは下水となって流れていきます。
そのセシウムが身体の外に排出されるまでの期間を短縮する重要な働きをしてくれるのが「ペクチン」です。ペクチンは、果実や海藻などに含まれる多糖類で、腸管内のセシウムと結合して再吸収を阻害し、便としてセシウムを排泄すると考えられています。
チェルノブイリ原発事故の被害が深刻であったベラルーシ等において実際に子どもたちにセシウムを早期に排出させるためにペクチン製剤を与える処置がなされました。チェルノブイリの被曝被害の研究者からも「アップルペクチン添加食品を摂取することによる治療効果ではCs-137 の除去効果に効率的に役立っている可能性がある。」との報告があがっています。
[source: 「ヘラルド放射能安全研究所」のネステレンコ博士による報告]
(抜粋) セシウム137を吸着するリンゴ由来のペクチンを服用すると、1か月で子供の体内放射能が急減することを確かめ、現地で多く収穫されるリンゴを原料にペクチン剤「ビタペクト」を開発。西側の非政府組織の資金援助によりベラルーシの7万人以上の子どもにベルラド製のペクチン製剤を与えた。
[source: ベラルーシの部屋ブログ「ペクチンを多く含む野菜や果物とその目安」]
(抜粋) ペクチンの摂取はベラルーシでは1日9グラムまで、とされていることはお知らせしました。 もしペクチン剤を飲む場合ですが、再び摂取する場合は、しばらくお休みしてから(最短でも1ヶ月は飲まないこと。)飲み始めますが、そのときは1日3-4グラムまでにするのがいいのだそうです。ベルラド研究所が2001年に発表した本「住民を放射能から守る方法と助言、その効果」(執筆者は前所長のワシーリイ・ネステレンコさん)によると、ペクチン剤は亜鉛と銅も排出してしまうので、摂取には注意が必要としています。
また、摂取するカリウムが減ると、放射性セシウムが蓄積されやすくなります。これはカリウムとセシウムの性質が似ているため、カリウムが不足することで、身体がよりセシウムを取り入れようとしてしまうからです。普段から、カルシウム・カリウムを多めに摂取しておくことで、体内に既に十分なカルシウム・カリウムが存在する状態を作りだし、放射性ストロンチウム・セシウムを取り込みにくくする効果があります。
カリウムが豊富な食材としては、海藻類、バナナ、緑黄色野菜、肉の赤身、芋類、豆類、ナッツ、こんにゃく等が挙げられます。ただし、腎臓病、腎臓の機能が低下している方はカリウムの過剰摂取は厳禁ですので、摂取量に気をつけるようにしてください。
<被曝の害を軽減 - レスベラトロールの効果>
長寿のサプリメントとして昨今マスコミ等でも扱われている「レスベラトロール」にはDNAの修復作用があるとされています。レスベラトロールはポリフェノールの一種で、長寿をつかさどる遺伝子であるサーチュイン遺伝子を活性化する効果があるとされ、細胞の老化を防止し、被曝の害を軽減すると言われています。
2008年9月に、全米放射線がん治療協会においてピッツバーク大学医学部のグリーンバーグ博士により、レスベラトロールを投与したマウスに放射線を照射したところ、染色体異常が少なかったという研究結果も出ています。
<ストロンチウム排出効果が実証 - キトサンの効果>
ダイエット効果、抗癌作用が注目されてきた「キトサン」もまた放射性ストロンチウムに対する排泄促進をもたらすとの実証結果が出ています。チェルノブイリ原発事故を受けて1993年にはキエフ国立臨床研究センターで患者にキトサンを投与したところ、放射性物質の減少が認められたとされています。ラットによる動物実験ではキトサンを日常的に摂取させることで、ストロンチウムの体内残留率が下がり、体内に吸収蓄積するのを防ぐことができるとの結果が出ています。
<まとめ> 特に重要と思われるサプリメントのみ記載しました。
・ いざというときのヨウ素カリウム(常時服用しないこと!緊急時用で普段は常備)
・ セシウム排出促進のためのペクチン
・ セシウム・ストロンチウムを吸収しにくくするためのカリウム・カルシウム
・ 傷ついたDNAを修復するためのレスベラトロール
・ ストロンチウムの排出を促すキトサン
・ 放射線により増えたフリーラジカルと戦うための各種抗酸化ビタミン類(ビタミンC、E、A、CoQ10、アルファリポ酸)
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<おまけ -賢いサプリメントの買い方->
上記では東京のような低線量被曝による間接作用に対して、抗酸化ビタミンをはじめとするサプリメント摂取が有効であることを説明してきました。
ではどのようにサプリメントを購入すればいいか、ということについて補足説明をいたします。(お気に入りのサプリメントメーカーが決まっているという方は、以下は読み飛ばしてください。)
別にお金がいくらかかってもいい、という方は数ある国内のサプリメントメーカーから購入すればいいのですが、サプリメント価格自体はサプリ先進国である米国の方が遥かに安いです。これはあまり知られていないことですが、近頃1ドル100円付近まで円安が進んだのでお得感は解消したということもなく、たとえ1ドル120円であったとしても、同種で同容量のサプリメントはアメリカで販売されているものの方が安いです。特に「レスベラトロール」など日本国内では歴史の浅いサプリメントについては、その差は大きく、海外製は半額以下で入手できるものも多くあります。
また、これも重要なことですが、サプリ大国である米国においては日本よりも厳しい規制体制が引かれており、定期的に検査が行われており、安全性においても国内製より優れています。意外に思われるかもしれませんが、日本は医薬品については厳しい扱いをしている一方、サプリメント・健康食品についての規制は緩いのが実情です。
もちろん国内製には国内製の良い点があります。まず、注文すればすぐに届きます。また、日本語で商品説明が書かれているため容量等を間違えて飲んでしまうリスクは少ないです。筆者も原発事故以前は、国内メーカーのサプリメントを購入していました。しかし、放射能被曝対策としてサプリメントを取る場合は、やはり従来より大量に購入する必要が出てきたため、サプリメント代を節約するために米国産を購入するようにしました。また、国内製サプリメントの場合、汚染された原材料が使用されてしまう可能性についても心配しています。
ここでひとつ注意が必要になります。外国産のサプリメントは安いため、日本の業者がインターネットで販売しているケースが多いのですが、中間マージンを多く取っている業者が存在するため、現地価格よりかなり上乗せされた価格で買わされているケースが多々あります。
筆者はそれを避けるために、Amazon.com等で直接米国から購入することを試みましたが、商品価格は確かに安いものの、送料が非常に高く、結果としてあまり安く購入できないというジレンマに陥ってしまいました。
そこで、いろいろ調べた結果、現時点で最も安く安心して買うことができるのは下記「iHerb」(アイハーブ)というサイトであるとの結論に至りました。(代表的なサプリメントの商品名でGoogle検索することで、その他のサイトとの価格が比較できますので、いろいろ調べてみることをお勧めします。)
このiHerb(アイハーブ)の利点は、
- 商品価格が安い、特に日本への送料が格安。
- ある程度、日本語に対応している。(商品名は英語のみですが、通常サプリメントの名前は英語をカタカナに訳したものがほとんどですので、すぐに何を指しているかわかると思います。)
- 最も売れている商品順に表示されるため、どれが評価の高い良質な商品かが一目瞭然。(人気上位の製品を選べばほぼ間違いないと思います。購入者による評価コメント欄も参考になります。)
たとえば、トップページから「サプリメント」メニューをクリックし、買いたいサプリメントの種類(例:「レスベラトロール」)を選ぶと、最も売れている商品( Now Foods, Natural Resveratrol, Mega Potency, 200 mg, 120 Vcaps )から順に表示されます。
筆者も初めて購入するときは、本当に届くのか?と不安でしたが、配送は比較的迅速でした。
「Yamato Transport」にて注文すると、航空便にて日本に輸送され、通常のヤマト運輸の配送員の方が自宅まで配達してくれます。注文から到着までは5日程度かかります。箱は通常の段ボールです。
また、「iHerb」には紹介割引コードというものがあり、筆者の紹介コードは「 AWA466 」です。注文確定前にこのコードをショッピングカートに入力すると、初回の注文の場合のみ5ドル 割引されます(下記は期間限定の特別10ドル割引の時期のものですが、通常は5ドル割引です。どのタイミングで10ドルになるのかは不明です)。これは紹介キャンペーンで、購入される方が安く買えるのに加えて、筆者に紹介料が入る仕組みです。たった5ドルですが、コードを入力するだけで安くなりますので、よろしければご利用ください。(詳しくはiHerbサイトをご覧ください。)
上記カートの商品欄の一番下(合計金額欄の上)をご覧ください。「New Customers: …Code. enter it here」の後にコードを入力する空欄がありますので、そこに割引コード「AWA466」を入力して「更新する(Update)」を押すと、下記のように割引が反映されます。
また、60$以上購入すると5%割り引かれるキャンペーンもあります。これは上記の紹介キャンペーンと併用できますので、送料の節約という意味でも一回に60$以上購入することをお勧めします。ただし、サイトにも説明がありますが、1回の注文は日本円で16,500円以下にしないと関税がかかってしまう可能性がありますので、ご注意ください。その他、詳しい注意点はこちらに記載されています。
いずれにせよ、このようなサイトからネットで購入できるという環境や円高のお蔭で、放射能被曝対策サプリメントを安く調達できるのは嬉しい限りです。
尚、「放射能に効く!」といった謳い文句で通常よりも高い値段でサプリメントを販売する手法には注意してください。放射線被曝に効果のあるサプリメントは、通常時でも免疫力アップや美容等に効力を発する”普通のサプリメント”です。それらの値段の相場を十分把握して、高額で購入してしまうことのないよう注意してください。東京に住む方にとってはサプリメントは長期的に必要になってくるものですから、できるだけ安く、家計を圧迫しない価格で購入して、長く継続して摂取していくことが大切です。
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