安全な量はない。その上でリスクを取るか。

東京に住むこと、そこには無視できない大きなリスクがあることをお話ししてきました。それでも諸所の事情により、東京に住み続けなければいけない方々にはそのリスクを忘れないでいてほしいと思います。

内部被曝の危険性をかねてより訴えている放射線リスク欧州委員会  (ECRR) によれば、今回の事故による癌の死亡者は40万人以上にのぼると推計しています。

[source:放射線の危険に関する欧州委員会(ECRR)「Fukushima cancer risk calculation 」]

 

かつてチェルノブイリでは「諦めた人から死んでいった」と言われます。筆者はこの言葉を忘れないように心掛けています。チェルノブイリ原発事故の際は、今の日本よりも移住政策や農作物の作付制限等の対策は比較的しっかりとしていました。しかし、自作した食物を食べないよう言われて守ってきた人々も1年経ち、何も起こらないからと経済的な理由もあり徐々にその警戒を緩めてしまい、数年後以降、深刻な健康被害に見舞われてしまいました。

放射線被曝による被害の悲惨さについて、いまいち実感が沸かないという方は是非下記のドキュメンタリーをご覧いただきたいと思います。非常にショッキングな映像ですが、被曝の恐怖、そして何より「放射線被曝の恐怖を知らないことの恐ろしさ」を理解できると思います。

 


チェルノブイリ・ハート(2003年米国, 監督:マリオン・デレオ)

第76回アカデミー賞でドキュメンタリー短編賞受賞。1986年のチェルノブイリ原発事故から16年、米国人女性ドキュメンタリー作家がベラルーシ共和国を訪れ、チェルノブイリ・ハート(生まれつき重度の心疾患)を持つ子供たちの苦しみに触れます。ベラルーシでは現在でも新生児の85%が何らかの障害を持っていると言われ、国に見捨てられた被曝被害者達の悲惨さは筆舌に尽くせません。筆者は小児病棟の場面が忘れられません・・・。

 

もう一つ紹介いたします。若干古くなりますがニューヨークタイムズに共感できる記事が載っておりました。

Unsafe at Any Dose

<以下、一部抜粋>

・Doctors understand these dangers. We work hard to try to save the life of a child dying of leukemia. We work hard to try to save the life of a woman dying of metastatic breast cancer. And yet the medical dictum says that for incurable diseases, the only recourse is prevention. There’s no group better prepared than doctors to stand up to the physicists of the nuclear industry. ((今の医学では治せない放射線被曝による白血病等の)不治の病に対して言えることは、とにかく予防することしかない。)

・Still, physicists talk convincingly about “permissible doses” of radiation. They consistently ignore internal emitters — radioactive elements from nuclear power plants or weapons tests that are ingested or inhaled into the body, giving very high doses to small volumes of cells. They focus instead on generally less harmful external radiation from sources outside the body, whether from isotopes emitted from nuclear power plants, medical X-rays, cosmic radiation or background radiation that is naturally present in our environment.

However, doctors know that there is no such thing as a safe dose of radiation, and that radiation is cumulative. The mutations caused in cells by this radiation are generally deleterious.((物理学者達が外部被曝と内部被曝と差を無視し、自然界に存在する放射線やX線検査と同等程度の軽視すべきものと主張することに対し、)医師達は放射線の害はそんなものではないことを知っている。放射線の害は人体に累積していくものだからだ。)

 

この言葉を常に念頭に置いておかなければなりません。

忘れないでください。我々はいま汚染された場所にいることを。東京で暮らす以上、このことを常に意識して行動していくべきと考えます。

 

 

スポンサードリンク




東京被曝対策情報トップページへ